轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页
縫子は、ひろ子のもんぺのほころびを縫ったり、二人の子供らの腹がけをこしらえたりしてやりながらも、気にして折々雨にかすむ外を見た。
「わたし、かえってまた出直そうかと思うけれど」
「どうしてさ。汽車にものれないのにこの雨を帰れるものか、歩くの?」
「……いて、いいかしら」
「誰にわるいのさ」
「…………」
「そうあれこれ考えないものよ」
「…………」
小声でそんな短い言葉が交されるとき、母もつや子もそのあたりにはいないのであった。石田へゆくと、挨拶を終る間もなくきっとつや子が、何時の汽車でおかえりますの? ときくんだものと親戚の若い女たちは歎いた。つや子は体が弱いせいか、その体のよわいということに気負けして暮しているせいか、直次のいるときから客ずきでなかった。人の出入りもない今、食事ごしらえも感興なく、その場のしのぎという風にされていた。
大降りの勢はちっともゆるまず、段々夕方が迫って来た。
「どうで! ほんほん、よう降りよる! つや子はん、また停電なとせんうちに、御飯しまうことで……」
睡眠の奥にまで雨脚がとおっているような一夜が明けた。
きのうは大雨の裡に生々していた自然の眺めもちらばっている家々も、きょうは連日の重い雨に濡れふやけて、力なく、ぼんやり色が流れて見える。