轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页

青空文庫

女手一本でどうやら嫁入りさせたばかりという娘の噂が出た。

ひろ子は、急用で東京へ是非ともかえらなければならない者として自分を紹介した。質素ななりをして、札びらを切るような風もないひろ子に対して、浮世しのぎに肉のつく暇もなかったらしい細君が冷淡なのを、ひろ子は、当然なことと思った。須波、三原間の徒歩連絡がはじまってから三原の町には毎日一万から二万の旅客が停滞した。空襲をうけなかった三原の町は、呉やそのほか大きい町々の買出し場所であった。その上、水が出てからは毎晩、一人二人ひとを泊めていない家はないとのことだった。そうきけば、須波の駅から崖をよじのぼって人家の裏道へ出たとき、いち早くくりのこされた雨戸から洩れる燈火に黒く群れ、頻りに家内の女と交渉している復員兵たちがあった。

一番の汽車に間に合うように三原の駅へ来て、ひろ子は、ともかく昨夜女集金人の家に泊れたことをよろこんだ。小さい田舎の駅でしかない三原は、構内の広場から往来まで旅客で溢れ、まだ降りつづいている早朝の雨の中に、泥濘をこねかえしている。ひろ子が、そこで夜明しが出来るだろうと思っていた駅の待合室の中は、ぎっしり詰った人々が立っているさえようようの有様であった。