轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页
それほど水の出た気配もない古い宿場町をぬけて、トラックは左右に明るく展望のある一本の国道へ出た。これで、明石まで行けるのかと、料金のやすさを怪訝に思い浮べているとき、トラックは、急に速力をおとして、畑の横に停った。
「どなたも、このトラックはここまでです。先はまた別に連絡があります」
「なーんだ」
がっかりして云うものがある。
「何丁ぐらい歩くのかね」
「二三町です、橋が一つ落ちているだけなんですから」
先の連絡におくれまいとして、旅客たちは我がちにいそいで歩きはじめた。小さいが、流れの急な川のところで、石橋が落ちていた。棒杙と、横板、俵などで、あぶなっかしく一時の足がかりが出来ている。一区ぎりずつ区切って、こちらからゆくものが渡り、あちらからの通行人がわたる仕組みにしてある。郵便配達が、赤塗の自転車をかついで、用心しながら、こちらへこして来た。ジープが二台むこう側に止って、車と車との間で声高に喋りながら、種々様々の風体をし、しかもどれ一つとしてまとまった服装をしているもののない日本人が、ありとあらゆる荷物をかついで、落ちた橋をぎごちなくわたって往復している光景を眺めている。