轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页

青空文庫

「いや、父さんたら。黙ってなさいってば!」

しきりに小声でたしなめていた。煎り大豆を、わけて食べたりしてひろ子も運ばれて行った。

今の列車では、万端が全然ちがう。ひろ子の座席の背中に肱をかけて立っている二人連の襟章なしの男たちが、聞かせたそうに、さり気なく大声に喋っていた。

「おい、山田に会ったか」

「彼奴はのこるんだろう」

「そんな筈はねえんだが――奴、要領つかいやがったな」

何と何とで、と、ひろ子にききとれない軍用語で数えた。

「俺あ、八千円とちいとばかり貰った」

「そうなるか……フム、まあ悪かねえなア」

東京の外郭にある駅へ来たとき、ひろ子は窓からやっと下りた。その拍子に力をかりたカーキ服の男の腕に目がとまった。その男の白い腕章には英語でミリタリ・ポリスと書かれていた。

五

好感をこめて、ひろ子は幾度も鮎沢の茶の間の電燈の笠を見あげた。

網走へゆくときめて、ひろ子が焼けた東京を出発した時分は、もう東北の田舎へ向ってでも荷物の運送が出来ない状態になっていた。しかし、夜具と本だけはどうしても欲しかった。距離にすれば僅かだが、他県に属するその町に住むようになっていた篤子夫妻が、一方ならず斡旋して、ひろ子に力を添えてくれた。