轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页
東北の中央の町から上野まで、僅か七八時間の短距離を走る列車は、混みようもひどかったし、気分もひどかった。潰走列車としか云いようがなかった。軍関係者、復員軍人、それらの大群集が、それっとばかり、矢庭に担げるだけのものをかつぎ、奪えるだけのものをかきさらって、我がちに乗りこんで来た。互に、あたり憚らず、どたんばでの利得についてしゃべり合っていた。
三日のちがいだが、東京という首都を通過して東海道を下るこの列車は、潰走列車ではなかった。八月十五日以来の第二段の後始末のために、動いている人々、そういう感じの旅客たちであった。かきさらえるものをさらってその場を見すてようとしている人々ではなくて、この旅の行きつく果に、それぞれ日本の新しい情勢によってひきおこされた課題をもっている人たち。そういう空気であった。
ひろ子の隣りに白い病衣をつけた傷痍軍人がのり合わせた。左脚が、太腿から切断されていた。下賜の義足が入っているという大きな木箱を、日傭人足のような男がかついで乗りこんだ。離ればなれに、病衣の人が三四人のりこんだが、看護婦も看護卒もついて来ていなかった。