轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页

青空文庫

ひろ子は、駭きをもって、その質問をきいた。

あのときはああいう本をかくし、今は又こういう本をかくす、という風にすぐ気がまわるほど日本人を卑屈にしたのは、何ものであるのだろう。

質問は「教・総」にとっても思いがけなかったらしく、意外そうな顔をもたげたが、暫くして武骨に答えた。

「われわれは飽くまで国体護持に終始する」

片脚の人は、「は」というような言葉で挨拶して、それなり黙りこんでしまった。それは片脚の人にとってほしい答えでなかったことは明かであった。そうかと云って、信念として、しかも「われわれ」の信念としてそう云われた言葉を、片脚の人は、どう押し返すことが出来たろう。同じ歴史の頁の上に顔を見合わせながら、互に扶けるどんな力もなくなったものとして、二人の間にはそれぎり言葉が途絶えた。

全く黙りこんでしまった片脚の人は、いよいよ家族に遭う時が迫れば迫るほど、不安が胸にこみあげて来た風で、うなだれたままになってしまった。そして京都駅に列車が止ったとき、心配そうにいそがしく出迎の人をプラットフォームの上に求めながら、松葉杖を鳴らして降りて行った。大阪駅へついた。