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そうしゅ
操守
豊島 与志雄
「改造」1929(昭和4)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,418 字 · 20 页
さらさらと、笹の葉の音がすると、寒い……。
岡野はしきりに杯を重ねたが、酒の落着き工合が悪くて、酔わなかった。
「君は……、」口籠って、おずおずとした眼付で、「君は、いつまでこんなことをしていて……。」
「でも、呑気でいいのよ。」
上の空の調子で受けて、急に、彼女は真面目になった。
「そのうちに、看板を借りようと思ってるのよ。」
そして、丸抱えで出てるのと自前で出るのとの違いを、商売の自由さの点や、収入の関係など、こまかな数字まで交えて、話しだした。
「それまでには、あなたこそ、あっちの方、早くきりをおつけなさいな。」
「きりをつけたら、どうする……。」
「どうもしないけれど……苦しまないだけでも、いいじゃないの。」
「…………」
彼の身内が震えるのが、彼女の眼にもついた。だが、彼女は踏みこたえた。そして踏みこたえる努力に、自分でもびっくりした。
「きりをつけるよ。立派につけてみせる。」と岡野は云っていた。「僕はそれを誓う。それだけが、僕自身を救う道だ。そして、本当に君に近寄ることになるんだから……。たとい……。」
「いいのよ、もう、そんなこと……。その話、よすの。