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ぎじしんねん
擬似新年
大下 宇陀児
「宝石 一月号」1954(昭和29)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,694 字 · 10 页
少女が、未知の年長の男を「おじさま」と呼ぶのは、ちよつとよろしく、しかし男の子は少なくとも「さま」でなく「さん」にしてもらいたい。でなかつたら「おつさん」でも、まア、ブリキ屋のおやじと間違えられた不安はあつてもその男の子を、男性的に見せるからいいけれど、やはりこんな場合は、値打ちがあつてもなくても「先生」と呼んでくれる方が、耳障りでなくてよろしいと思うがその野郎は事ごとに私を「おじさまおじさま」と呼ぶから、男色家に非る私はまことに不愉快だつたわけである。
しかし、時間の都合があり、それに私は気が弱いから、がまんしてこの男の子と話しこんでいた。
すると彼は、写真のことを話し出したが、写真については、少なくとも私より造詣が深いようである。また、かなり高級な写真機を持つているようである。私は、その昔、海野十三のあの独特の親切にほだされて、ローライ・コードを買わされたことがあり、そののち、ついにめんどうくさくなつて、これを人に無償で与えてしまつたが、そのことなどを思い出しつつ、適宜にばつを合せて話していると、この小僧は、とつぜん「時におじさまはジーエフをお持ちですか」