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はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页

青空文庫

必ず死体を探し出しましょう」

「宜しい、では明日は墓地に僕も行く」

署長はきっぱり云い切ったが、言葉をついで、

「それから君、支倉の検挙を一日も早くしなければならんぞ。逃走後既に三、四週間にもなっている。然も彼は今尚毎日のように警察に宛て、愚弄嘲笑の限りを尽した手紙を寄越すではないか。実に横着極まる奴だ。一日も早く捕えねばならん」

「その点は御安心下さい」

主任は云った。

「浅田の取調べが調子よく進んでいます。遠からず彼の居所が判明するでしょう。実は石子君に早くその方に廻って貰いたいのですが、死体発掘と云う重要な事の為に遅れているのです」

「私も一時も早く支倉逮捕の方に廻りたいのです。彼は私に対して一方ならぬ侮辱を加えているのです」

「うん、そうだ。君はどうしても彼を捕えねば男が立たんのだ。大いに君に期待しよう」

署長は大きくうなずいたが、やがてきっとなって、

「では、兎に角明日は一同揃って墓地に出かけ、目的の死体を掘り出すとしよう」

「承知いたしました。では一切の準備をいたして置きましょう。それから君」

主任は石子刑事に向って、

「今日掘って来た死体は明日元の所へ埋めなければならんね」