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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页
十日で、即日起訴されているのであるから、彼がいかに恐れ入って、悔悟の涙に咽びながら事実を申立てたかと云う事が分る。
彼は小塚検事にこう云っている。
「私は断じて偽りは申しません。又他にも重大な犯罪を犯して居りますから、決して一つや二つは隠し立ては致しません。尤も私は神楽坂署に拘留せられて居る間、偽りも申した事はありますが、その当時は自分の犯罪を自白せずに自殺しようと思い、石を呑んだり硝子を呑んだり、銅貨を呑んだり、又は古釘で頭蓋を突き破って死のうとしたり試みましたが、自殺の目的を達する事を得ず、煩悶している間に今日の場合は寧ろ潔く事実を陳べ、妻子が無関係であるのに再三再四裁判所へ呼出されて迷惑する事のないようにした方が宜しいと決心がつきましたから、昨十九日署長にも願って妻子の事に就いて後事を託したいと存じ、中野の宣教師ウイリヤムソンを呼んで頂き面会して後事を託し、尚神戸牧師及妻にも面会を許して頂き、心の残りのないようにして此処へ参りましたのですから、決してもう偽りは申しませぬ」
彼はそう前提して、聖書の窃盗は元より前後三回の放火についても詳細自白し、尚貞を殺した事についても次の如く陳述した。