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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页
其の土工の放けるのは見ません。
問 火事になった時に分ったか。
答 私は家内と二階に寝て火の燃え上るのを知らずに居りましたが、隣の莫大小屋の職人が門か垣根を打破って、私等を起して救い出して呉れたので、朝の四時か五時頃でした。
問 如何なる方法で火を放けたか。
答 知りません。私の処に揮発油はありましたが、自分が放けたのではなく、揮発油を使ったか否か知りません。
問 幾何燃えたか。
答 私所有の一軒は全部燃えました。
問 保険金を受取ったか。
答 千八百円許り受取りました。
放火の件が終ると訊問は一転して貞殺害の事に及んだ。劈頭彼は強姦の事実を否定して、犯した事は犯したが暴力は用いないと云った。
問 被告は人を頼んで示談をしたか。
答 神戸牧師を頼んで何も云わぬと云う事で百円遣り示談にいたしました。神戸の手へ金を渡した月日を覚えません。
問 然るに被告は貞子を殺す決心をしたか。
答 咄嗟の場合に殺す決心をしました。金百円を渡したものの未だ淋疾に罹って居りましたから病院に入院させる積りでしたが、能く考えると自然自分の不始末が分ると思い、病院へ行かず新宿へ連れそれから用達を致し、新宿より山の手線の電車に乗り、目黒駅に下車し、自宅へ帰る途中、私宅より三町程離れた野原の蓋なき古井戸へ貞を突き落としました。