轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页

青空文庫

刑事の依頼に今更取消す訳にも行かず、呉々も弟の不利益にならないようにと頼んだ末、小林氏は住所を委しく話した。石子はこれを書留めて家を辞した。いつの間にやら大分夜が更けていた。

翌朝石子刑事は神田三崎町に小林定次郎を訪ねた。

変にゴミ/\したような感じのする横丁を這入って行くと、軒の傾きかけたような車宿があった。

そこの二階の一室に彼はいたのだった。

ギシリ/\と粗末な梯子段を軋らせながら、窮屈そうに降りて来た彼は、石子刑事を見てペコンと頭を下げた。朝から酒気を帯びていた。

「警察の旦那ですか。あっしゃ近頃御厄介になるような事はいたしやせんが」

どっちかと云うと丸い肉附きの好い、見るから酒毒で爛れたと云う赤ら顔や、はだけた胸のだらしなさは、痩せて仙骨を帯びたと云った風の兄の小林氏とはこれが兄弟かと疑われる程似もつかなかったが、口を開くと二本の異様な長い犬歯が現われて、血統のものにちがいないことを語っているようだった。

「何、心配するような事じゃないのだ」

石子刑事は気軽く云った。

「鳥渡内密に聞きたい事があるのだがね」

「そうですかい。じゃ、すみませんが上って下さい。