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しなまいのふくろ
支那米の袋
夢野 久作
「新青年」1929(昭和4)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,357 字 · 50 页
「インニャ。このまま片づけるのも芸のねえ話だかんナ……エヘン」
「止せったらヂック……そんな事をしたら化けて出るぞ」
「ハハハハ……化けて出たら抱いて寝てやらあ……何も話の種だ……エヘンエヘン」
「止せったら止せ……馬鹿だなあ貴様は……云ったってわかるもんか」
「まあいいから見てろって事よ……これあ余興だかンナ……俺の云う事が通じるか通じないか……」
って云ううちに、そのヂックって男は、又一つ咳払いをしながらハッキリした露西亜語で演説みたいに喋舌り出したの。
「エヘン……袋の中の別嬪さんたち。よく耳の垢をほじくって聞いておくんなハイよ。いいかね。……お前さん達はみんな情人と一緒になりたさに、こんな姿に化けてここへ担ぎ込まれて来たんだろう。又……お前さん達の情人も、おんなじ料簡で、お前さん達をここまで連れて来たんで、決して悪気じゃなかったんだろうが、残念な事には、それが出来なくなっちゃったんだ。いいかい……だからね。……エヘン……だから怨むならばだ……いいかい……怨むならば、お前さん達の情人にこんなステキな智恵を授けた、ヤングという豪い人を怨まなくちゃいけないんだよ。