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しなまいのふくろ
支那米の袋
夢野 久作
「新青年」1929(昭和4)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,357 字 · 50 页
だしぬけに……」
「俺あ小便を引っかけられた。コレ……」
「ウワ――。あれあスチューワードが持ち込んだ肥っちょの娘だろう。彼奴の鞭で結えてあったから……」
「ウン。あのパン屋のソニーさんよ。おかげで高価え銭を払ったルパシカが台なしだ。とても五弗じゃ合わねえ」
「まあそうコボスなよ。女の小便なら縁起が宜いかも知れねえ」
「人をつけ……ウラハラだあ……」
「ワハハハハハ」
……だってさあ……こんな事を云い合って呑気そうに笑いながら、その男たちは又四ツばかり叫び声を担ぎ上げたの。
「サア温柔しく温柔しく。あばれると高い処から取り落しますよ。落ちたら眼の玉が飛び出しますよ」
「小便なんぞ引っかけないように願いますよだ。ハハハハハハ」
「ドッコイドッコイ……どうでえこの腹部のヤワヤワふっくりとした事は……トテモ千金こてえられねえや」
「アイテッ。そこは耳朶じゃねえったら……アチチチ……コン畜生……」
「ハハハハ。そこへ脳天を打っ付けねえ。その方が早えや」
「アイテテ……又やりやがったな……畜生ッ……こうだぞ……」
って云ううちに、……ギャーッて云う声が室中にビリビリする位響いて来たの。