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ほうろう
放浪
織田 作之助
「文學界 第七年第五号」文藝春秋、1940(昭和15)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,614 字 · 47 页
インケツ、ニゾ、サンタ、シスン、ゴケ、ロッポー、ナキネ、オイチョ、カブ、ニゲなどと読み方も教わり、気の無い張り方をすると、「質屋の外に荷が降り」とカブが出来、金になった。生れてはじめてほの/″\として勝利感を覚え、何かしら自信に胸の血が温った。が、続けて張っている内に結局はあり金全部とられて了い、むろんインチキだった。けれど、そうと知っても北田になじる気は起らなかった。翌くる日、北田は※でシチューと半しまを食わせてくれた。おゝけに御馳走さんと頭を下げる順平を、北田はさすがに哀れに思ったか、どや、一丁女を世話したろか、といってくれた。リヽアンの小鈴に肩入れしてけつかんのやろと図星を指されてぼうっと赧くなり一途に北田が頼もしかったが、肩入れはしてるんやけどナ、わいは女にもてへんよって、兄貴、お前わいの代りに小鈴をものにしてくれよ。そういう態度はいつか木下にいった時と同じだったが、北田は既に小鈴をものにしているだけに、かえって気味が悪かった。
オイチョカブの北田は金が無くなると本職にかえった。夜更けの盛り場を選んで彼の売る絵は、こっそりひらいてみると下手な西洋の美人写真だったり、義士の討入りだったりする。