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せいじにかんするずいそう

政治に関する随想

伊丹 万作

「キネマ旬報 再建第三号」1946(昭和21)年6月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,515 字 · 11 页

青空文庫

したがつてその抱懐する道徳理念は、支配階級に奉仕する奴隷的道徳をそのまま持ち越したものであり、いまだにこれを他人にまで強要しようとしている。

このような候補者の現状を見るとき、我々は制度としての民主政体を得たことを喜んでいる余裕がないほど、深い、より本質的な憂欝に陥らずにはいられない。

では、何がこのような現状を持ちきたしたのであろうか。現在の日本には、候補者として適当な、もつとすぐれた人材がいないのであろうか。そんなはずはない。決してそんなはずはないと私は信ずる。しからば、なぜそのような優れた人材が出ないで、ぼろぎれのような人間ばかりがはえのように群がつて出てくるのか。

思うにそのおもなる原因は二つある。すなわち一つは国民の政治意識があまりにも低すぎることであり、一つは現在の立候補手続きが人材を引き出すようにできていないことである。

現在の国民大衆の政治意識がいかに低いものであるかは、彼らの大部分が反動的政党を支持して平然としていることによつて最も端的に表明せられている。国民大衆が反動勢力に投票するということは、露骨にいえば自分たちの敵に投票することであつて、いい換えればそれは民主主義に対する裏切行為であり、自殺行為なのである。