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せいじのろんりとにんげんのろんり

政治の論理と人間の論理

三木 清

「セルパン」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,051 字 · 5 页

青空文庫

ヒューマニズムの論理は政治の論理に一致し難いものがあり、そこに歴史の悲劇というものが考えられる。この悲劇はもとより単にソヴェートにおいてのみでなく、世界の到るところにおいて、過去および現在にわたって、見られることである。オプティミスティックな政治主義が考えるように、簡単にこの悲劇がなくなるとは想像され得ず、かえって悲劇は歴史の本質であるように思われる。政治の論理と人間の論理との一致を理想として歴史は限りなく悲劇を繰り返しつつ進んでゆく。ジードの『ソヴェート旅行記』のごとき、まさにそのことを示している。

今日の世界の不幸は独裁政治であるというよりも政治の独裁である。独裁政治はむしろ政治の独裁の一つの形態である。戦争の危機を前にして政治の独裁は強化されるばかりである。かような政治の独裁が制御されねばならぬ、政治の独裁に対する批判的な力が強化されなければならない。言い換えれば、人間の論理、ヒューマニズムの論理が政治に対する批判的な力とし強化されて現われることが大切である。人間存在の政治的性格のみが力説されて来たのに対してその超政治的性格が力説されねばならぬ。