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せいじしゅみのかんよう
政治趣味の涵養
大隈 重信
「早稻田學報 第貳百參拾參號」早稻田大學校友會、1914(大正3)年7月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,466 字 · 11 页
専門には相違ないが、例えば芝居を見ても団十郎とか菊五郎とかいう名人がおっても、これを批評するものがないとその真の技倆は分らない。見物の目がこれを見るだけの明がなくては仕方がないわけである。それを褒めないで、却って壮士芝居の方が面白いというようなことになる。これはつまり批評家がないからである。有ってもその批評が悪いからである。何でも人の上に働く術はそういうもので、批評家が悪いと如何に巧妙なる術を行っても一向それが分らぬ。これを嫉妬心よりして言うと拙ないと言うて笑う。
予は今日日本のすべての政治的国民の心理が甚だ幼稚であると思わざるを得ないのである。こう言うと自分がえらそうに聞えるが、見物人が甚だ度が低い。その度の低いところには如何なる天才も術を施すところがないと思う。ここに於て平凡な話であるが、政治は国民の反響なりといわなければならぬ。かの支那で民主国を拵えた。しかしながら、事実支那人はなんらそういうことの考えはない。それで直ぐ革命も失敗してしまった。かくの如く国民の心理が発達せずして批評家が幼稚なるは何に基するかというと、教育が悪いからである。教育が悪いに依って高尚なる意味に於ける政治が出来よう訳がない。