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せいじしゅみのかんよう
政治趣味の涵養
大隈 重信
「早稻田學報 第貳百參拾參號」早稻田大學校友會、1914(大正3)年7月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,466 字 · 11 页
私は甚だその礼なきやを疑うのである。過ぐる日、教育大会に私は案内を受けて出るはずであったが出ることが出来ずして、秘書官に祝辞を持たせてやった。それから討論が開けると、帝国議会の討論のような随分粗末な言葉であったという。礼を失したようなことを少しも恥じずにやる。かくの如き者が何と口の先に礼を説こうとも、秩序を説こうとも、道徳を説こうとも、その野卑な言葉、その言葉の暗示の力というものは国民の思想を攪乱しないでは済まぬ。この暗示の力というものは実に驚くべきものである。ある意味に於て非常な悪影響を及ぼすものであるということを忘れてはならぬ。これを教育家その人もなんだか忘れてしまっているような有様である。それでは可けない。思想の自由から初めて批評の自由となり、公正なる批評に依ってここに輿論というものも現れて来る。而してこれが現れて社会政策に大なる力をもつに至り、これを以て紀綱も治まって行くのである。紀綱が紊れてはもはや救うことは出来ない。そういう訳であるから、なんとかしてもう少し国民に元気を付けて、そうして政治の趣味を付けることが急務である。
謡を謡うとか、角力を見るとか、芝居を見に行くというくらいに、政治の趣味がないといかぬ。