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こしゃいんのひとこといまなおせいしん
故社員の一言今尚精神
福沢 諭吉
「時事新報」1882(明治15)年3月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,661 字 · 4 页
その中に就て独り西洋学者の流は深謀遠慮にして、窃に謂らく、官軍或は暴ならん、仮令い暴なりと雖ども西洋人に害を及ぼすことは彼輩の能する所に非ざるべし、左れば我輩の拠て以て頼む所は横浜にある外国人居留地の安全なるに若くものなしとて、該地に居を移す者日に多く、府民も亦この例に傚うて皆横浜に走り、浜の市中既に充満して、その東南なる北方村、本牧村等に及ぼし、一時はその地方にて家賃宿料の騰貴するに至れり。今日在東京の紳士学者にして既往を回想したらば自から之を記臆する輩も多からん、又或はその当局者もあらん。
斯る世上の有様なれば、在江戸の人にして苟も横浜在留の西洋人に知る者あれば、西洋人も亦私に之を保護せんとするの情を抱き、或は仮に某国の籍に入れと云う者あり、或はその印鑑を与えて万一危急のときはこの印鑑を官軍に示して一時を免かれよと云う者あり。何れも皆深切の情に出ることにして、敢て奸策とは云うべからず。我義塾の如きも固より外人に知る者多ければその顧る所と為りて、或る日某氏より態と印鑑を贈り来りしは、全くその友情に出たるものより外ならざるなり。
時に本塾の教員小幡仁三郎(小幡篤次郎の実弟。