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ぶんかさい

文化祭

坂口 安吾

「小説新潮 第八巻第九号」1954(昭和29)年6月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,978 字 · 28 页

青空文庫

「アッハッハ。歌手は二等。バンドは三等。これは芸術の格だね。では、失礼」

田沼も歌手であった。彼はヤツ子を護衛するようにして二等車に乗りこんだ。バンド組の五名はそろって素寒貧、指をくわえて見送る以外に手がなかったのである。

小さな駅に降りて、そこから、またバスに乗らなければならない。

「駅に出迎えもでていないのね」

と、またヤツ子がイヤミを云った。重々もっともなイヤミではある。だから谷は一そう無念だ。

「バスには二等がないそうで、どうも、相すみません」

腹立ちまぎれに、つい口をすべらしてしまったから、ヤツ子が顔色を変えた。自分だけ乗るつもりでタクシーを探したが、そんな気のきいた物があるような駅ではない。しかし、胸がおさまらないから、

「私は歩いて行きます。どうぞ、お先に」

「無理ですよ。三里もあるそうですから」

「いいえ、歩きます」

「こまるなア。じゃア、ボクも一しょに。キミたち、先に行ってくれたまえ。ボクたち、何か乗物さがして、追いつくから。歌手は真打だ。バンドが先にやってるうちに、静々とのりこむからね」

「よせやい。ほかに乗物はありやしないよ」

「モシ、モシ。