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ぶんかさい
文化祭
「小説新潮 第八巻第九号」1954(昭和29)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,978 字 · 28 页
そのくせ五等席にも乗りたがらずに、足で間に合わせるのがなお利口だという考えなんです。この連中を説き伏せるのは、竿で星を落すぐらいメンドーかも知れませんが、あなたのためにこの連中と闘うことは、むしろボクのよろこびですね。ボクはとてもうれしいのです」
「うれしいッてことじゃアないと思いますけどね。商用ですからね。純粋な取引でしょう」
「ですから、うれしい。商用のお役に立つことが、とてもうれしいのです。人生は商用につきますから」
「ハア、そうですか」
「特にアナタは女性ですし、あの満員の聴衆を集めたのも主としてアナタの力ですから、他の六名を合わせたぐらいの報酬を要求なさっても当然なんですね。ボクは幹事長にそれを要求しましょう」
「それは無理というものですわ」
「エエ、もうあの連中にとっては全てのことが無理なんです」
「私はね。ただ私だけでも二等運賃をいただいて、谷さんに見せつけてやりたいのです。そのミセシメが必要だと思うんですよ。その程度の誇りを持つべきであるということを」
「むろんですとも。では応接間で待ってて下さい。幹事長をつれて来ますから」
ありがたいことになったと信二は大いによろこんだ。