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ぶんかさい
文化祭
「小説新潮 第八巻第九号」1954(昭和29)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,978 字 · 28 页
売上げをあんまり使いこんじゃいけませんね。半分は持ってきて下さらなくちゃア、雑費が払えませんから」
ニコリともしないで重大な訓示を云い渡した。男女三十名の重役連、訓示の重大さに気づいたのは、信二の家を辞してからであった。
「売上げをあんまり使いこんじゃいけませんね、と。たしか、そう云ったねえ。アンマリ、と。アンマリか。ちッとはいいのかい?」
「半分は持ってきて下さらなくちゃアと仰有ったわねえ」
「ウウム。そうか。オイ。これだぜ。これを政治的フクミと云うんだ。今の言葉でな。そうか。血筋は争えないもんだなア。さすがに名門の子孫だよ。おそるべき政治的手腕だぜ。バカどころか、バカとみせて、見上げた腕じゃないか」
「政治家ねえ」
「おそれいった」
にわかに認識が改った。
★
昭和大学のバンド一行はねむい目をこすりながら上野駅に集合したが、歌手の小森ヤツ子が二等でなければ乗らないと言いだしたので、この旅行は出発から情勢険悪になってしまった。
契約に際して二等車を指定するのがバンドマスターの義務である。三等に乗せるなぞとは芸術家を軽蔑している、というヤツ子の云い分であったが、これにはワケがあった。