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ぶんがくのたいりくてきせいかくについて

文学の大陸的性格について

宮本 百合子

「月刊文章」1940(昭和15)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,628 字 · 9 页

青空文庫

日本の人が日本の在来の心に壮士風のロマンティシズムと感激とを盛って大陸にいって書いて来る文学の肉体・呼吸・体臭は大陸の文学の輪廓を出しにくいのが目下の現実であり、そこに文学としての畸形が生れている。

大石さんなどでも、書きにくさについて語っているが、この素朴な表現に案外多くのものがこもっているのではないだろうか。作者としての大石さんが、作品の世界にとらえ難いと歎いているものはあながち海外でのみみられる日本人の人間としての成長の過程のあとづけばかりではなくて、そのように日本の心をつくりかえてゆくそこの土地の力の云うに云えない日夜の作用そのもののうつし難さも在るのではないだろうか。

ある土地の風物は作者が直接耳目でふれたから間違いない、という範囲で文学が文学としてのいのちをもち切れないところが微妙であるのだと思う。〔一九四〇年十一月〕