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ぶんげいのてつがくてききそ

文芸の哲学的基礎

夏目 漱石

文艺创作有没有哲学根基?夏目漱石从自身经验出发,探讨文艺的本质和意义,引人深思。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,519 字 · 98 页

青空文庫

すると煎じ詰めたところが私もなければ、あなた方もない。あるものは、真にあるものは、ただ意識ばかりである。金釦が眼に映ずる、金釦を意識する。講堂の天井が黒くなっている、その黒い所を意識する。――これは悪口ではありません。美術学校の天井が黒いと云うのではない、ただ黒いと意識するので、客観的存在は認めておらん悪口だから構わないでしょう。

まずこれだけの話であります。すると通俗の考えを離れて物我の世界を見たところでは、物が自分から独立して現存していると云う事も云えず、自分が物を離れて生存していると云う事も申されない。換言して見ると己を離れて物はない、また物を離れて己はないはずとなりますから、いわゆる物我なるものは契合一致しなければならん訳になります。物我の二字を用いるのはすでに分りやすいためにするのみで、根本義から云うと、実はこの両面を区別しようがない、区別する事ができぬものに一致などと云う言語も必要ではないのであります。だからただ明かに存在しているのは意識であります。そうしてこの意識の連続を称して俗に命と云うのであります。

連続と云う字を使用する以上は意識が推移して行くと云う意味を含んでおって、推移と云う意味がある以上は(一)意識に単位がなければならぬと云う事と(二)この単位が互に消長すると云う事と(三)は消長