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ぶんげいのてつがくてききそ
文芸の哲学的基礎
文艺创作有没有哲学根基?夏目漱石从自身经验出发,探讨文艺的本质和意义,引人深思。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,519 字 · 98 页
そうなると本人のためには至極結構であるが、他人すなわち同方向に進んで行かない人にはずいぶん妨害になる事があります。妨害になると云う事を知っていれば改良もするだろうが、自己の世界が狭くて、この狭い世界以外に住む人のある事を認識しない原因から起るとすれば、どうする事もできません。現代の文芸で真を重んずるの弊は、こうなりはしまいかと思うのであります。否現にこうなりつつあると私は認めているのであります。
真を重んずるの結果、真に到着すれば何を書いても構わない事となる。真を発揮するの結果、美を構わない、善を構わない、荘厳を構わないまではよいが、一歩を超えて真のために美を傷つける、善をそこなう、荘厳を踏み潰すとなっては、真派の人はそれで万歳をあげる気かも知れぬが美党、善党、荘厳党は指を啣えて、ごもっともと屏息している訳には行くまいと思います。目的が違うんだから仕方がないと云うのは、他に累を及ぼさない範囲内において云う事であります。他に累を及ぼさざるものが厳として存在していると云う事すら自覚しないで、真の世界だ、真の世界だと騒ぎ廻るのは、交通便利の世だ、交通便利の世だと、鈴をふり立てて、電車が自分勝手な道路を、むちゃくちゃに駆けるようなものである。