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ぶんげいひょうろんのほうほうについて

文芸評論の方法について

戸坂 潤

「文芸」1937(昭和12)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,949 字 · 16 页

青空文庫

――ソヴェート文芸百科全書の内、熊沢訳――だろう)。

だが私は少し先走りしすぎたようだ。印象批評はどうなったか。――印象批評と文芸学との間の連鎖はどうなのか。――印象批評というと如何にも低級な批評の形式のように思われる。処が実は、云い方によっては、之こそ批評の真の面目なのだということも考えて見る必要があったのである。批評が享受に始まらねばならぬことは当然なことだ。そこで享受が批評へ移行する最初の扉は、他ならぬこの印象だ。印象は批評の初めであり母胎である。云って見れば印象が批評の凡てを決めて了うようなものだ。印象を佯ってはどんなに理屈が立派でも批評にはならず、まして科学的な(と云うのは客観的に真実な)批評にはならぬ。

何と云っても印象批評が抜くべからざる勢力を有っているという事実は、だから理由がなくはないのだ。だが批評が印象に基くということと、所謂印象批評というものとを、区別しなければならぬのは、勿論のことだ。批評を印象の上だけに止めておくということが所謂印象批評だ。之に反してこの印象を追跡し反省し分析し、なぜそういう印象を直接印象として自分が受け取らねばならなかったかを説明することが、批評・評論・の責任なのだ。