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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页

青空文庫

なかには、あたまの底までしんと静まり冴え返らせるような本能的な笑い声と交っているのであった。ともあれ、それらは悉く障子戸の内部から、あるいは雨戸越しに遠くきこえたりするのであった。

それから最う一つは、かれと擦れちがいにあるく女らが、どういう時でも必ず一度はこういう種類の女にありがちな一瞥を施してくれることで、そのため彼はどれだけ暗い往来で、ふいに花をぶつけられたように慌てたことであったか判らない。どの女らも決ったように鼻や唇や耳にくらべてその目つきが悧巧げに黒黒と据えられていて、ひと目投げると対手の足さきから頭のさきまで見とどける周到な働きと迅速な解剖的視覚をもっているのであった。何かの黒漆な虫、とくに何ものでない異常の光、その冷たそうに素早く輝くものが、いつもかれに一滴の得体の知れないものを注いでいた。それがかれにとって理由なく嬉しかったのである。しかし、かれにそそがれる目つきは、なかばは卑しげなものを見下すひかりで、なかばは、こういう界隈はあなたがたのくるところでないという叱責さえも加わっているようであった。かれはそのために赧くなって溝板のような下駄の音を忍んであるくのであった。