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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页
それは、当時に流行った小唄をヴァイオリンに併せて弾いたりする卑俗な街頭音楽者のむれであった。かれらは、吉原に近い土手裏の湿め湿めした掘立小屋のような木賃に、蛆のように蠢きながら、朝から晩まで唄いつづけていたのであった。かれがふとしたことから、そこの木賃をたずねたときは、午後三時ころの斜陽が、煤と埃とボロにまみれた六畳の、黒ずんだ畳の上をあかね色に悲しげに射していた。
音楽者らは、みなヴァイオリンを一日十銭ずつに賃借りをしていた上に、糸や楽器の破損は凡て自分持ちにしていたのである。手垢にまみれた楽器はどれだけの人人の手に触れたか分らないほど黒ずんだ光沢をもって、胴の中はおびただしい埃にまみれていたのである。かれが其処に凡ての人人がするように、ぶらりと這入ると、すぐ紹介された。歳太郎というかれの郷里から出てきた古い友人が、かれを時時脅して電車賃などを持って行ったが、しまいに、かれをそこに紹介してくれたのである。
そこには四人の青年がいたが、みな一様に日焼けをしていた上に、栄養不良らしい蒼白い皮膚をしていた。昼間は、ときどき万年町の元締からくる毎日の新しい小唄を予習することに趁われていたが、もとよりメロディばかりを弾くのであるから、それほど困難ではなかった。