轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页

青空文庫

そして二人は観音堂の方へ急いで人込みのなかへ隠れて行ったのである。かれはそれを見ているうち、果して一人の巡回の警吏が靴音をしのびながら歩いてくるのを眺めた。

所在ない日夜の彷徨は、至るところの街路や裏町にかれの姿を浮きあがらしていた。かれは何のために毎夜のようにほッつき廻らなければならないかということを問われたならば、一言答えることが出来なかったであろう。かれには理窟なしで、ひとりでにその足はいつも雑踏の巷に向くのであった。そのうち冬は完きまでに、この巷の公園の樹の肌に凍えつき、安建築を亀裂らせるような寒さを募らした。

或る晩、かれは十二階のラセン階段を上って行った。いつかは昇って見ようと思いながら、一度も昇ったことがなかったのである。かれの予測した古い黴のような匂いや、埃のむれや、至るところに不思議な軋り泣きする階段をおもしろく感じた。何かしら彼の好奇心をそそるような寂然とした自分の足音の反射、またかれと同じようにこの塔を見物するために上った少女のむれなどが、かれに奇怪な或る幻像を編み立てさせたのである。

かれは第九階にまで昇りつめたとき、そこの壁にさまざまな落書が鉛筆や爪のあとで記されてあるのを読んだ。