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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页
一つの階段ごとに一人の番人がいて、卓子に向っていた。そのたびにかれは淋しい時計が静かな室内にときを刻んでいるのをきいた。番人らはかれの異常にあおざめた顔いろと、その変につかれた足どりとを目にいれると、またつぎの階段の入口で消えてゆくのを眺めた。ふしぎにこれらの階段の幾つとない入口から入口へと消えてゆくものが、昼となく夜となく打続くことで、誰も昇ったものがいない筈の階段を不意にきしませて、誰かがうしろから歩いてくるような気がして仕方がなかった。そうかと思うと、反対の階段からもぎしぎし昇ってくる足おとが微かにしてくるのであった。まるでそれは入れかわり立ちかわり、絶え間なく影燈籠のようにくるくると廻っているように思われるのであった。かれはしまいには幾つの階段を上ったり下ったりしているか分らなかったのであった。目がふらふらしてきたのである。しかも手すりの真鍮をつかまりながらいるので、手はだらりと冷たく凍えあがったように垂れていた。そのとき番人はあわてて、
「入口はそちらですよ。飛んでもない。窓から転げおちますよ。飛んでもない。」そう言いながら、麻のような手つきで階段の下り口を指さした。