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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页
国の方からも手紙がくるごとに、子供はまだか、まだできぬかと書いてあった。そのたんびに不愉快をかんじた。あちこちの結婚したての友だちがみな子供を持つのを見ると、なお子供のできることが厭な気がした。そればかりではなく、自分達さえ苦しい暮しをしているのに、それが生れたら大変だという気もしていた。貧しさの骨身を削ってきた下宿時代のことを考えると、それが生れてこないことばかり考えられた。
夫婦きりで閑暇のありすぎる退屈さが、おりおり訳のわからぬ不快をともなった。女は張り合いのない顔をし、よその赤坊をお湯につれて行ったり、犬や猫を飼ったりして寂しがった。
「どうして子供がないでしょうね。」
「どうしてだか。」
むっつりと私はその話がでると黙り込んだ。そしてそのたんびに、
「子供なぞあったら困るだろうなア。なくてさえ困るんだから。」
そういうとプイと立って、座を外した。その事に触れてはならぬと思ってか、女は、その話をしなくなり、人がくるとどうしてできないんでしょうね、と、そう云うばかりだった。
三年過ぎても、女にはそのけはいさえなかった。友だちはよくその話で、わたしを皮肉ろうとした。