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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页
「お目にかかりませずか……」
松岡はまた舌打ちをして女の気勢を挫いてしまった。「そんないい加減な文句をつけて来られてたまるものか? それに先きに前触れをして来るのならまだいいが、大ぴらで能く来られたものだ。」
女は黙って俯向いていた。頸は顔色の浅ぐろいのに似合わず、白く、静かな肥りを小ぢんまりと伸べていた。しかし松岡正の眼にはそういう頸すじなぞ眼に止らないで、むしろ憎々しげに見下ろしたのだった。
「それでどうする気なんだ、勝手に上り込んでしまって、――」松岡はすぐにでも出て行けがしに言った。そして急に思い出して、「俥も返してしまったじゃないか?」
「ええ、わたくし、どうしようかと迷っていたのですけれど、車ならお目にかかった上で……」
「また呼べると言うのだろう。」
「え、そうおもうたものでございますから。」
「何しろお前には辛抱というものができないらしいんだ。とにかく食事はまだしないのだろうから……」
松岡は階下へ立とうとした。一そう、怒ったような顔貌だった。女は慌てて松岡を止めるようにした。
「わたくしなら汽車の中でいただいたのですから、かまわないで下さいまし。