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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页
来春はまた早くにおまちいたしております。」
そこでわたくしはこう申しました。
「阿闍利さま、ご機嫌よくお暮しなさいまし。」
しかし下山しましても、わたくしは童子のことは誰にもいいませんでした。が、そのころ気のついたことは、阿闍利さまは月の十五日になっても村々へ読経してお廻りになることがなくなったのでございます。雨風の烈しいときでも欠したことのない勤行経がもう村では聞くことができなくなったのでございます。
わたくしは村のひと達にこういって置きました。
「来月こそはきっとお出でになるにちがいありません。」
しかしその年の冬じゅうは唯の一回も村へ下りて入らっしゃることがなかったのです。そればかりではなく、年のはじめに山へ上ったものの話では、お寺の中は荒れ次第で、仏具は錆び朽ち、庭や廊下には見るかげもない草枯れの這うのにまかしてあることが分りました。そして阿闍利さまは朝晩の勤行も怠りがちで、山樵もあってその声をきいたことが無いと申し、そういうことはお山では珍らしいことだというておりました。
わたくしはそのころ漸っと阿闍利さまのお心のほどがわかりました。これはきっと美しい童子に心を奪われているからだと思いましたが、村人もそれとなく気がついているらしく、阿闍利さまを憎むよりも何となく童子を憎む人々が多かったのでございます