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りょうりしばい

料理芝居

北大路 魯山人

「独歩」1953(昭和28)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,992 字 · 4 页

青空文庫

例えば親子の間柄もそうである。父は子に対して友人と対する時とはおのずから異なった態度をもってせねばならぬ。すなわち、父親らしい振舞いを必要とする。赤裸々な人間として、わが子に対することはできない。

まったく芝居を必要としない社会というものは、よほど山奥の集落にでも行かねば存在しないと思われる。しからば、この芝居は芝居だからいけないかというとそうではない。ただそれがまずい芝居であっては、父として子を訓育することも、子供によい影響を与えることもできない。ましてわが子に対し、友人に対すると同じような、間違った芝居をするならば、それは、なおさらよろしくあるまい。わが子に対しても、われわれは親として名優となることが必要だということがわかる。

広く社会を見るならば、この芝居のうまい者が社会的成功者であり、下手な者が没落者であることもうなずける。

日常座臥、われわれの生活に芝居はついてまわる。料理屋の料理は、料理の芝居であるというわたしの考えは、強いてはそこまで行かずにはおかないのである。