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だんそうがん

断層顔

海野 十三

「探偵よみもの」1947(昭和22)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,033 字 · 33 页

青空文庫

「船乗りだったろうの方は反応大有りさ。そこでわしを突倒して逃げてしまった」

「どうして船乗りだと見当をつけたんですか」

「それはお前、あの帽子の被り方さ。暴風帽はあのとおり被ったもんだよ」

「ははあ。それで彼が船乗りだったら、この事件はどういうことになるんです」

「それはこれから解くのさ。彼が船乗りだというこの方程式を、われわれは得たんだ」

「関連性がないようですねえ」

「いや、有ると思うね。彼が船乗りだということが分ると、そのことがこの事件のどこかに結びつくように感じないか」

「さあ、……」

甥は、脳髄を絞ってみたが、解答は出なかったので、首を左右に振った。

「あんまりむずかしく考えるから、反って気がつかないんだねえ」

老探偵は笑って、オーバーのポケットへ両手を突込んだ。

「さて、ちょっと谷間夫人を訪問して行くことにしよう」

「正式に面会するんですか」

「いや略式だよ。君に一役勤めて貰おう。こういう筋書なんだ」

老探偵はその甥に何かを低声で囁いた。甥はいたずら小僧みたいな目をして、悦んでそれを聞いていた。

たしかに碇曳治と谷間シズカの名札のかかったアパートがあった。