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だんそうがん

断層顔

海野 十三

「探偵よみもの」1947(昭和22)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,033 字 · 33 页

青空文庫

帆村は、側路に取った別の小型の映写幕装置へ両眼をぴったりあてていた。これは相手の顔が見えるだけで、帆村の顔は先方へ電送されない。

碇曳冶の憤った面が、幕面にとび出して来た。

「折角だが、そんな金は貰いませんよ。送り返して下さい。僕はそんなに礼讃される男じゃない。放っておいてください。そして僕のことを探険隊員として新聞でよけいな報道をすることはもうよして下さい。甚だ、迷惑だ」

碇が電話を切ろうとしたのを、傍にいたシズカ夫人がその手をおさえて、代りに電話に出た。

「どうも何とも申訳ありません。あのひとは非常な謙遜家でございまして、このごろでは自分を英雄として宣伝されることをたいへん嫌って居りますんですのよ。新聞社の方へは、あたくしが代りに伺いまして、お詫びやらお礼を申上げますから、どうかお気を悪くなさらないように」

「いや、気は悪くしてはいませんが、ファンの手紙と金は受取って下さい。じゃあ郵便でそっちへお送りしましょう」

老探偵の合図によって、テレビ会見は終幕となった。器械をしまって、足音を忍んで、アパートの前を立ちのいた。

下りの坂道にかかったとき、蜂葉はもう辛抱が出来ないという風に、無言行の伯父に呼びかけた。