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だんそうがん

断層顔

海野 十三

「探偵よみもの」1947(昭和22)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,033 字 · 33 页

青空文庫

老探偵は、小さい子供にいってきかせるように言った。

三人は歩き出した。

だが蜂葉は気が気でなかった。

「おじさま、いいんですか。もし万一のことがあったなら……」

彼は低声で伯父に注意した。この怪人を谷間シズカ夫人に会わせたとき、怪人はかっとなって夫人の頸を締めるようなことはないであろうか。もしそんなときには、帆村は事件依頼人に対してどういって申訳をするのだろう。

だが、帆村は、心配しなくていいという意味の合図を甥に示しただけで、歩調を緩めようともしなかった。大した自信だ。

三人が、アパートの入口へ続いた通路へ二足三足、足を踏み入れたとき、突如として奥から銃声が響いた。十数発の乱れ撃ちの銃声だった。

「しまったッ」

老探偵はその場に強直して、舌打ちをした。かれの顔は、驚愕にひきつっていた。

「行ってみましょう! 何事が――」

「待て、ムサシ君。もう遅いのだ」

帆村の声は平常に戻っていた。

「なにが遅いというのです」

「射殺されたのだよ。あの男が……」

「あの男とは?」

「碇曳治が射殺されたんだ」帆村はそれから木田の肩へ手をおいた。「木田さん。あなたが恨みをいいたかった人は、一足違いで、死骸になってしまったらしいですよ。