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あたらしいていこうについて

新しい抵抗について

宮本 百合子

「学生評論」1号、1949(昭和24)年9月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,451 字 · 31 页

青空文庫

のために使われたことは、ただの一度もなかった。ですから、出版綱領実践委員会はエログロ出版取締のためという名目に乗ぜられて、新しい出版取締法をつくられる媒介になることはしまいとしました。これは正しい態度でした。

ところが、一年経ったらエログロ出版者たちは、おかしな風に右ねじりをはじめてきた。最近の「軍艦大和」の問題は、文学作品の形をとっていたから、文学者たちの注目を集め、批判をうけましたが、ひきつづきいくつかの形で二・二六実記が出て来たし、丹羽文雄の最後の御前会議のルポルタージュ、その他いわゆる「秘史」が続々登場しはじめました。なにしろあの当時、言論報道は全く統制されて嘘の大本営発表しか知らされなかったのだから、読者はこんにちあらわれる「秘史」にエログロと違うスリルを感じて、夏枯れしのぎに、いい思いつきのように流行しています。

これらの「秘史」「ルポルタージュ」が真実の軍部批判と戦争批判、日本の平和建設の誠意をどの程度までたたえているでしょうか。二・二六秘史についても、あの事件が日本の侵略戦争遂行のための暴動であったいきさつにはふれないで、青年将校の純情さの一面を浮び出させている。