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あたらしきせかいのためのあたらしきげいじゅつ
新しき世界の為めの新しき芸術
大杉 栄
「早稲田文学」1917(大正6)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,400 字 · 25 页
斯くして、彼等の議論は極めて曖昧である。微温である。曖昧微温な民衆側の議論は非民衆側の直截熱烈な議論を誘なわない。
甞つて僕は、歴史を一貫する、そして今日では資本家階級と労働者階級との形式によって現わされている、彼の「征服の事実」を説いて、
「敏感と聡明とを誇ると共に、個人の権威の至上を叫ぶ文芸の徒よ。諸君の敏感と聡明とが、此の征服の事実と、及びそれに対する反抗とに触れない限り、諸君の芸術は遊びである、戯れである。吾々の日常生活にまで圧迫して来る、此の事実の重さを忘れしめんとする、あきらめである、組織的瞞着の有力なる一分子である。
「吾々をして徒らに恍惚たらしめる静的美は、もはや吾々とは没交渉である。吾々はエクスタジイと同時にアントウジアムスを生ぜしめる動的美に憧れたい。吾々の要求する文芸は此の征服の事実に対する憎悪美と反抗美との創造的文芸である。」
と云った。そして更に、此の憎悪と反抗とによる「生の拡充」を説いて、
「生の拡充の中に生の至上の美を見る僕は、此の憎悪と此の反抗との中にのみ、今日生の至上の美を見る。征服の事実が其の絶頂に達した今日に於ては、諧調はもはや美ではない。