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あらたなプロレタリアぶんがく

新たなプロレタリア文学

宮本 百合子

アレゴリーと諷刺

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,478 字 · 11 页

青空文庫

だから、その中に現れてくる主人公の行為も、具体的であって、実は具体的ではない。

兎と亀のかけくらで、兎が油断して昼寝したり、亀が身の程を知って、ノタノタ一生懸命に歩きつづけるということは、この世の中に確にある行為だ。けれども、何年、何の時代に、どういう情勢のもとに起ったことだという意味での具体性のないのが、アレゴリーの中の行為の特性である。

ところで、ごく簡単にしらべて、こういう特徴を見つけたアレゴリーがプロレタリアの文学として、実際どのくらい役に立つものだろうか。

実際の例をとって考えて見よう。桃太郎の話は、たれでも知っているから、ちかごろ階級的童話の初歩的試みとして、そのつくりかえが行われている。

プロレタリアートの文学に、まず階級性のはっきりしないことは困る。特に啓蒙的な目的でつかう場合こまる。桃太郎が桃から生れて、犬、猿、キジをひきつれて鬼という架空的存在を征服して、宝物をひとりで取って平気でいるのでは、ものにならない。

桃太郎は貧乏な小作人の子で、鬼は悪地主だ。三人の仲間を中心として悪地主をやっつけて、村の農民みんなのために働いたという風に、かえられる。