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しんねんごうの『ぶんがくひょうろん』そのた

新年号の『文学評論』その他

宮本 百合子

「文学評論」1935(昭和10)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,976 字 · 16 页

青空文庫

この座談会ではイデオロギー批評とその他の批評、作家的批評とが二様にわけてつかわれた。主として創作上の技術などについて追求しようとする作品の見かたがイデオロギー的でない、作家の役に立つ批評としていわれている。しかし会話のやりとりの間ではイデオロギー的批評の性質は分明にされなかった。これは、果してどういうものであろうか。

たとえば橋本正一氏がいっているように、自身の創作の実際にあたって、作家は、他の作家によってかかれたある作品の構成「漸次に発展するところの場面に対する小説的な興味」又は作品に感銘ふかい効果を引きおこす為に大切な「絵画的な細部描写」などを吟味し、それらがどのように作者の意図を具体化しているか、成功しているかいないかを理解することによって自作のための有益な参考をひき出す場合も少くないだろう。それにしろわれわれの文学にはユーゴオが創作の法則と考えていたような固定した対立法などというものはありえない。やはり作者が描こうとした現実とのなまなましい有機的なつながりで構成や文体をも批評することはあきらかである。その際、事件の発展の順序、比重、描写における精疎のリズムなどを何によってわれわれが判断するかといえば、描こうとされている現実の複雑な諸要因、錯綜した関係に対して、作者がどことどこに重点をおこうとし