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しんけんぽうにかんするえんぜつそうこう
新憲法に関する演説草稿
幣原 喜重郎
「幣原喜重郎」幣原平和財団、1955(昭和30)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,641 字 · 6 页
若し又我国の保有せんとする兵力が如何なる強国又はどの同盟国にも拮抗して、一切の侵入軍を徹底的に駆逐するに足るようなものであるならば、連合国側に於いて我国のかかる軍備を承認する筈はなく、又仮令これを承認するとも我が国力は之に堪え得られるものではありませぬ。強て軍備の過大な充実を試みるならば、外部よりの侵略に先だって、内部の疲弊困憊に依り、国家の破滅を来たすことになりましょう。
第二に永久局外中立制度の効果も亦頗る疑わしいものがあります。曩に大正三年独逸は仏国との開戦を決意するや否や、白耳義の永久局外中立を保障する条約の規定を無視して咄嗟の間に白耳義国内に侵入し、それより第一次世界大戦の幕は明けたのでありますが、爾来永久中立制度の価値は俄然暴落して、世界の人心は最早真面目に之を信頼しなくなったように思われます。我国も欧羅巴の前世紀時代に行われた旧制度に倣って、自国の安全を図らんとするが如き望を繋いではなりませぬ。
第三に我国が他国の侵略に遇った場合に、何ずれかの第三国より兵力的掩護を受けんとする構想に至っては、凡そ一国が何時でも優勢なる兵力を東洋方面に集中しうる体制を整えて日本を掩護することは、固より容易ならざる犠牲を伴うものであります。