轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

「女人藝術」1928(昭和3)年10月号~1930(昭和5)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 247,330 字 · 497 页

青空文庫

帰り、カゴ町の広い草っぱらで螢が飛んでいた。かえり十二時。白山まで長駆して歩いてかえる。

炭屋の二階四畳半が当座の住居。部屋代は四円。自炊するのには一山二十銭の炭を買って燃料にはことかかない。蜜柑箱の机に向ってまた仕事。童話をいくつ書けば、いったいものになるのか判らない。シンデレラめいたもの、イソップめいたもの、そのどれもこれもが一向に何の反響もない。

四囲がわあっと炭臭い。炭臭くてどうにもならない。――神様、神様と云うもの……。まるい、ふわふわ、三角のとげとげ、どんな形をしているのだ、貴方は? 髯をはやして眼をつぶって、白い羽根をシダのように垂れさげているのですかね。もやもやの真空なのか? 神よ! いったい、貴方は、本当に私のまわりにも立っているのか云って下さい。きっと、私のようなもののところには来ないのでしょう? 神様! 本当に貴方は人間のところに存在しているのですかどうですか? 神様よ。私には一向に見えない。そのくせ、私は見えない貴方に手を合わせる。誰も見ていないから、甘ったれ、涙を流して、じいっと、貴方に祈る。何とかして、このイソップが明日の糧になりますように。