轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

「女人藝術」1928(昭和3)年10月号~1930(昭和5)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 247,330 字 · 497 页

青空文庫

新らしい土地へ降りてみたいなと思うなり。静岡にしようか、名古屋にしようか、だけど何だかそれも不安で仕方がない。暗い窓に凭れて、走っている人家の灯を見ていると、暗い窓にふっと私の顔が鏡を見ているようにはっきり写っている。

男とも別れだ!

私の胸で子供達が赤い旗を振っている

そんなによろこんでくれるか

もう私はどこへも行かず

皆と旗を振って暮らそう。

皆そうして飛び出しておくれ、

そして石を積んでくれ

そして私を胴上げして

石の城の上に乗せておくれ。

さあ男とも別れだ泣かないぞ!

しっかりしっかり旗を振ってくれ

貧乏な女王様のお帰りだ。

外は真暗闇だ。切れては走る窓の風景に、私は目も鼻も口も硝子窓に押しつけて、塩辛い干物のように張りついて泣いていた。

私は、これからいったい何処へ行こうとしているのかしら……駅々の物売りの声を聞くたびに、おびえた心で私は目を開けている。ああ生きる事がこんなにむずかしいものならば、いっそ乞食にでもなって、いろんな土地土地を流浪して歩いたら面白いだろうと思う。子供らしい空想にひたっては泣いたり笑ったり、おどけたり、ふと窓を見ると、これは又奇妙な私の百面相だ。