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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
長谷川時雨『新編 近代美人伝 (上)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:明治美人伝、明治大正美人追憶、樋口一葉、一世お鯉、大橋須磨子、竹本綾之助、豊竹呂昇、平塚明子(らいてう)、松井須磨子、芳川鎌子。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 页
悪くいうものがあったとすれば、それは「うまくやってたんだなあ」という体の、卑しい心持ちをもつ者ぐらいであった。
では、女性の方に対しては、どういう解釈をもったかというに、世人は侮蔑と反感を持って、唾も吐きかけかねまじき見幕であった。因習にとらわれ、不遇に泣いているような細君たちまでも、無智から来る、他人の欠点を罵れば我身が高くでもなるような眺めかたで、彼女を不倫呼ばわりをして、そういう女のあったのを、女性全体の恥辱でもあるように言ってやまなかった。けれどもそういう女たちのなかには、卑屈な服従も美徳であると思い違え、恋愛は絶対に罪悪だと信じられているからでもある。立派な紳士でさえ「沙汰のかぎりだ」という言葉で眉根をひそめただけで、彼女に対する一切を取片附けてしまったのが多かった。実際世間はその「沙汰のかぎり」という言葉をその事件に対する評語とした。それは一つは、彼女の身分が男の方とは違って、名門であり富有であったから、一種妙な、日頃の鬱憤をはらしたような、不思議な反感と侮蔑をもって、嘲弄的だった。そしてその余憤は、彼女が倉持を殺してでもしまったようにさえ憎むのであった。