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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
長谷川時雨『新編 近代美人伝 (上)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:明治美人伝、明治大正美人追憶、樋口一葉、一世お鯉、大橋須磨子、竹本綾之助、豊竹呂昇、平塚明子(らいてう)、松井須磨子、芳川鎌子。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 页
やっぱり新聞紙によって知っただけにしか過ぎない。けれどもそれだけで彼女の一生を片付てしまおうとするのはあんまり残酷ではあるまいか? 何故とならば、誰人に聴いても彼女自身の口から出た、その事件に対しての告白は聴いていない。まして死んでしまった倉持陸助の心持ちは猶更分りようがない。その上に、どう感情をおしかくそうとし、また出来るだけそれまでになる動機の径路顛末を避けて書いたとしても、死際に残した書置きには、何か心の中の苦悶を洩らしてない事はあるまいと思うが、その書置きをすら、二人のを二人のとも、或る人が見ただけで早急に火中してしまったと伝えられているから(事実はそうでないかも知れない。すくなくも、近親の間にだけは、披露されたと見るが当然の事かも知れないが)真の事情というものは五里霧中のなかにあるといってもよい。「彼れらは真に恋愛を解していたか?」ということも出来れば「何があるものか出来心だ」と曲解することも出来るし「いえ、そんな事はすこしもなかったのだ。それこそ他に入組んだ訳があって、結果があんなふうになってしまったのだ。」と打消すことも出来ないとはいわれない。