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めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

長谷川時雨『新編 近代美人伝 (上)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:明治美人伝、明治大正美人追憶、樋口一葉、一世お鯉、大橋須磨子、竹本綾之助、豊竹呂昇、平塚明子(らいてう)、松井須磨子、芳川鎌子。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 页

青空文庫

「羽左衛門さんのところと、梅幸さんのところと、それから六代目さん。六代目さんは附属なんですね。そりゃ火鉢だってなんだって、拵えておあげになるのです。たいした檀那でございますよ」

泉鏡花さんの「辰巳巷談」に出てくる沖津のような、江戸ッ子で歯ぎれのよい、女でも良いものばかりを誂えられて納めようというお〆さんが、自分の吐いた煙のなかで、ちょいとさげすみ笑いをしたが、

「だが、お鯉さんは好い気風でしてね。馬鹿だなんていう奴がドサの慾張りなんですよ。そりゃ利ればなれがよくってね、横浜からの遣いものなんざ、貰うとすぐに、来たもの徳で、こんなものやろうかってやっちゃうんですからね、さっぱりしたものでさあ。知れたってすこしも恐れるんじゃないから好いでしょう。あたしゃあ好きでしたね。お使いにたって持ってくときもありましたが、見ていてグッと溜飲がさがっちゃうので、かまうもんですか、やっちゃいなさいよ。旦那がやかましく仰しゃりゃ、またこしらえさせますからさって、唆しかけたものでさあ」

といいながら、器用に、ポンと音をさせて煙管の吸殻を吐月峰へはたいた。

「けれどお鯉さんもたいていじゃなかったのですよ。