轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

長谷川時雨『新編 近代美人伝 (下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:市川九女八、江木欣々女史、遠藤(岩野)清子、大塚楠緒子、九条武子、朱絃舎浜子、田沢稲船、柳原燁子(白蓮)、モルガンお雪。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 页

青空文庫

「あたしも、なるたけ、出してあげたいと、骨を折っているけれど――」

彼女は、娘の描いた、おとなしい絵を手にとって眺めて沈呻した。

――この娘はもっと強い子だが――

琴を弾かせても黙って弾いている。あれは、あの時、胸のなかに、何か、物足らない思いが一ぱいに詰まっているのだ。この娘は、何も言わないが、どんなことを考えているか知れたものではないと、母親には、それが心配なのだ。

けれど、錦子が琴をかき鳴らしても唄わないのは、邪念があったのではない。琴の糸の奏で出すあやは、彼女の空想を一ぱいにふくらませ、どの芽から摘んでいいかわからない想いが湧上るのだ。どう整理してよいか、まだ、そのわけが分明としないものが醗酵しかけてくるのだ。だから彼女は、うっとりとしたような、不機嫌のような、押だまったままでいるのだ。だがとうとう、錦子は、朝夕眺めた、鳥海山も羽黒山も後にして、出京することになった。

二

山田武太郎と表札の出ている、美妙斎の住居を訪れた、みちのく少女のいなぶねは、田舎娘が来たのかと、気にもかけなかったであろう美妙に、ハッと目を瞶らせた。

美妙は、たしか二十歳ごろから四、五年の間、女学生向きの『いらつめ』