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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
長谷川時雨『新編 近代美人伝 (下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:市川九女八、江木欣々女史、遠藤(岩野)清子、大塚楠緒子、九条武子、朱絃舎浜子、田沢稲船、柳原燁子(白蓮)、モルガンお雪。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 页
、第3水準1-87-62)子さんは面白い話をしたことがある。武子さんが九州へゆかれたとき、伊藤伝右衛門氏は、筑紫の女王のところへ、本願寺の生菩薩さまが来られるときいて有頂天になり、座ぶとんは揃えて、緞子、夜具類はちりめん、襖をはりかえさせ、調度は何もかも新しく、善つくし、美を尽さねばならぬときめた。それはおなじ九州のある豪家へ武子さんが招ばれた時には、何千円かを差上げて来ていただいたというのに、我家へは無償でこられるということより何より、それほどの人にわが成金ぶりと、何処にも負けない豪奢ぶりを見せなければおさまらないのだった。それをふと、
本願寺さまだってお手許が――武子さんはそんなにおごってはいません、といってしまったらば、急に見下げて、何もかも新しい調度は取消しにして、何もさせないので困ってしまったということだ。
それが、何もかもを語っているとおもう。出来ない辛抱は、今の道にくるまでの、新らしい生活にもあったかもしれない。けれど、澄みたる月は暴風雨のあとにこそ来る。あらしはすぎた。※(「火+華」、第3水準1-87-62)子さんのこしかたも大きな暴風雨だった。